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平成6年(1994年)に発生した冷凍空調施設における事故について

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  平成6年に発生した冷凍空調施設における事故(通商産業省(現 経済産業省)に報告のあった事故)は10件で、そのうちの3件が誤判断等人為ミスによるものと推定される事故で、7件が自然災害(三陸はるか沖地震(マグニチュード7.5/震度6))によるものであった。

また、これらの事故を災害現象別にみると、いずれも漏洩によるもので、冷媒別ではアンモニアが9件、フルオロカーボンが1件であった。

以下に、それぞれの事故の概要を紹介します。

〔人為的なミスと推定される事故〕

   
  (その1) バルブの不完全閉止(修理中)
(1)発生日時: 6年6月27日 17:50頃
(2)発生場所: 千葉県下のアンモニア冷凍事業所
冷凍能力 415.5トン/日
(3)許可年 : 昭和36年
(4)災害現象: 漏洩等
(5)取扱状態: 停止中
(6)事故概要: ウオータークーラーへのアンモニア冷媒供給ラインの流量調整弁が作動不良のため、装置を停止し調整弁の分解点検を実施していたところ、突然アンモニアガスが噴出した。作業員は、空気呼吸器を装着し、噴出箇所の前後のバルブを閉め漏洩を止めた。漏洩時間は約5分間。事故原因は、流量調整弁の修理に当たりその前後のバルブを完全に閉止していなかったためと推定されている。

(その2) フルオロカーボンガスによる酸欠(修理中)
(1)発生日時: 6年10月3日 17:45頃
(2)発生場所: 岡山県下のフルオロカーボン22冷凍事業所
冷凍能力 12トン/日
(3)災害現象: 漏洩等
(4)取扱状態: 修理中
(5)事故概要: 地下室に設置してある冷凍機が不調であったため、メンテナンス会社の作業員が前日から修理をしており、当日は8時30分頃より修理を再開していた。17時45分頃、修理状況を確認に行った冷凍事業所の社長が、倒れている作業員を発見し直ちに消防署に通報した。現場には、フルオロカーボンガスが充満しており、消防隊員が空気呼吸器を装着して地下室に入り、作業員を救出し病院に搬送したがすでに死亡していた。事故原因は、作業員が冷凍機の冷媒・油の交換を行うため、冷媒をホースで戸外に大気放出していたところ、機械室内にフルオロカーボンガスが充満し、酸欠に至ったものと推定されており、一次原因としては次のいずれかが考えられる。
(1)ホースと冷凍機の接続が不良であった。
(2)大気放出したガスが何らかの原因で地下室となっている機械室に流入してきた。

(その3) 液封によるストレーナーのき裂
(1)発生日時: 6年10月3日 20:00頃
(2)発生場所: 長崎県下のアンモニア冷凍事業所
冷凍能力 109トン/日
(3)許可年 : 昭和48年
(4)災害現象: 漏洩等
(5)取扱状態: 運転中
(6)事故概要: 10月1日、高圧受液器の出口弁を閉止したところ、同弁の袋ナット部からアンモニア臭がしたので、低圧受液器との間の電磁弁を閉め冷凍装置を停止して帰宅した。10月3日、運転開始時、高圧受液器の液面が下がっていたため、電磁弁に漏れがあり低圧側にアンモニアが流れたと判断し、運転終了後、電磁弁手前(高圧側)の閉止弁を閉止した。このため、閉止弁と電磁弁との間が液封状態になり、その間にあったストレーナーにき裂が生じアンモニアが漏洩した。更に、逆圧により電磁弁が開いたため低圧受液器内のアンモニアも漏洩した。事故原因は、電磁弁が漏れていると思い込み、電磁弁手前の閉止弁を閉止したためと推定されている。

〔自然災害(三陸はるか沖地震)による事故〕

   
  (その4) 天井ヘアピンコイル溶接継手部のき裂(地震)
(1)発生日時: 6年12月28日 21:19頃
(2)発生場所: 青森県下のアンモニア冷凍事業所
冷凍能力 98トン/日
(3)許可年 : 昭和36年
(4)災害現象: 漏洩等
(5)取扱状態: 停止中
(6)事故概要:  三陸はるか沖地震発生後、事業所内を点検したところ、冷蔵庫内の天井ヘアピンコイルの溶接継手付近にき裂が生じアンモニアガスが漏洩していた。直ちに、送液バルブを閉め冷凍機により配管内のガスを吸引した。

(その5) サクションヘッダ溶接部のき裂(地震)
(1)発生日時: 6年12月28日 21:19頃
(2)発生場所: 青森県下のアンモニア冷凍事業所
冷凍能力 265トン/日
(3)許可年 : 昭和42年
(4)災害現象: 漏洩等
(5)取扱状態: 停止中
(6)事故概要: 三陸はるか沖地震発生後、事業所内を点検したところ、凍結室のサクションヘッダの溶接部にき裂が生じアンモニアガスが漏洩していた。直ちに、送液バルブを閉め冷凍機により配管内のガスを吸引した。

(その6) 低圧配管の壁貫通部付近からの漏洩(地震)
(1)発生日時: 6年12月28日 21:19頃
(2)発生場所: 青森県下のアンモニア冷凍事業所
冷凍能力 67トン/日
(3)許可年 : 昭和42年
(4)災害現象: 漏洩等
(5)取扱状態: 停止中
(6)事故概要: 三陸はるか沖地震発生後、事業所内を点検したところ、凍結室の低圧配管の壁貫通部付近からアンモニアガスが漏洩していた。直ちに、送液バルブを閉め冷凍機により配管内のガスを吸引した。

(その7) 天井ヘアピンコイル溶接継手部のき裂(地震)
(1)発生日時: 6年12月28日 21:19頃
(2)発生場所: 青森県下のアンモニア冷凍事業所
冷凍能力 143トン/日
(3)許可年 : 昭和41年
(4)災害現象: 漏洩等
(5)取扱状態: 停止中
(6)事故概要: 三陸はるか沖地震発生後、事業所内を点検したところ、冷蔵庫内の天井ヘアピンコイルにき裂が生じアンモニアガスが漏洩していた。直ちに、送液バルブを閉め冷凍機により配管内のガスを吸引した。

(その8) 壁貫通部配管のき裂(地震)
(1)発生日時: 6年12月28日 21:19頃
(2)発生場所: 青森県下のアンモニア冷凍事業所
冷凍能力 527トン/日
(3)許可年 : 昭和39年
(4)災害現象: 漏洩等
(5)取扱状態: 停止中
(6)事故概要: 三陸はるか沖地震発生後、直ちに、冷凍機の運転を停止し、事業所内を点検したが異常は認められなかった。22時頃アンモニア臭がしたため、再び点検を実施したところ、天井ヘアピンコイルからの壁貫通部の配管にき裂が生じアンモニアガスが漏洩していた。直ちに、送液バルブを閉め冷凍機により配管内のガスを吸引した。

(その9) サクション配管の溶接部のき裂(地震)
(1)発生日時: 6年12月28日 21:19頃
(2)発生場所: 青森県下のアンモニア冷凍事業所
冷凍能力 119トン/日
(3)許可年 : 昭和44年
(4)災害現象: 漏洩等
(5)取扱状態: 停止中
(6)事故概要: 三陸はるか沖地震発生後、直ちに、冷凍機の運転を停止し、事業所内を点検したが異常は認められなかった。監視室に戻ったところ冷蔵庫内の警報器が鳴動していたので、再び冷蔵庫内の点検を実施したところ、天井ヘアピンコイルからのサクション配管の溶接部にき裂が生じアンモニアガスが漏洩していた。直ちに、送液バルブを閉め冷凍機により配管内のガスを吸引した。

(その10) サクション配管のき裂(地震)
(1)発生日時: 6年12月28日 21:19頃
(2)発生場所: 青森県下のアンモニア冷凍事業所
冷凍能力 73トン/日
(3)許可年 : 昭和42年
(4)災害現象: 漏洩等
(5)取扱状態: 停止中
(6)事故概要: 三陸はるか沖地震発生後、直ちに、事業所内を点検したところ、冷蔵庫内のサクション配管にき裂が生じアンモニアガスが漏洩していた。

直ちに、送液バルブを閉め冷凍機により配管内のガスを吸引した。


平成6年に発生した冷凍空調施設における事故は10件で、自然災害(三陸はるか沖地震)によるものが7件と多数を占めた。しかし、誤判断等人為ミスによるものと推定される事故が3件発生し、うち1件はフルオロカーボンガスによる窒息死という悲惨な事故となった。

これらの事故例を教訓に、同種事故の再発防止にお役立ていただくことを期待します。

お問合わせ先

   
 
高圧ガス部 冷凍空調課
TEL 03-3436-6103 FAX 03-3438-4163
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