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平成10年(1998年)に発生した冷凍空調施設における事故について

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  平成10年に発生した冷凍空調施設における事故(通商産業省(現 経済産業省)に報告のあった事故)は6件で、いずれも、アンモニア冷凍施設において発生したものであった。これらの事故を災害現象別にみると、漏洩(4件)、破裂(1件)、その他(放流)(1件)であった。漏えい事故の内訳は、うち2件が凝縮器用安全弁の作動によるもので、もう1件が圧力計のネジ込み部からの漏洩で、残りの1件は管理されていない冷凍設備の内圧上昇によるものであった。また、破裂事故は、容器の過充填によるものであった。それぞれの事故の概要を紹介します。

(その1) 安全弁の作動による漏洩(操作ミス)

   
 
(1)発生日時: 10年5月17日 13:50頃
(2)発生場所: 広島県下のアンモニア冷凍事業所
冷凍能力35.4トン/日
(3)許可年 : 昭和35年
(4)災害現象: 漏洩等
(5)取扱状態: 運転中
(6)事故概要: 凝縮器の冷却水バルブを全開せずに運転した。このため、冷却水温が上昇し、凝縮器内の冷媒圧力が上昇して安全弁が作動した。しかし、放出管に取り付けられていた逆止弁が錆び付いていたため閉塞状態となったため、逆止弁の蓋が破損し、アンモニアが漏洩した。また、同時に、圧力上昇により、圧縮機の空気抜き弁のネジ部からも漏洩があった。なお、誤操作により、高圧遮断装置の短絡スイッチ(手動と自動の切替スイッチ)が、手動になっていたことから、高圧遮断装置の本来の機能が活かされなかった。

(その2) 回収したアンモニアの放流(設備の撤去作業中)

   
 
(1)発生日時: 10年5月19日
(2)発生場所: 和歌山県下のアンモニア冷凍事業所
(3)災害現象: その他(放流)
(4)取扱状態: 冷凍設備の撤去作業中
(5)事故概要: アンモニア冷凍施設を廃止するため、アンモニアを50kg容器(40本)に回収した。しかし、容器が不足したため、当初、ドラム缶に水を入れアンモニアを希釈したが悪臭がするため増水した小川にアンモニアを放流した。(アンモニア容器50本を、別途発注していたが納期に間に合わなかった模様。)なお、下流の潟において、魚が浮いたがアンモニアの放流が原因であるとは断定されていない。

(その3) 安全弁の作動による漏洩(エバコンの冷却水量不足)

   
 
(1)発生日時: 10年7月6日 10:30頃
(2)発生場所: 宮城県下のアンモニア冷凍事業所
冷凍能力 316.9トン/日
(3)許可年 : 昭和37年
(4)災害現象: 漏洩等
(5)取扱状態: 運転中
(6)事故概要: 蒸発式凝縮器(エバコン)の安全弁が作動し、除害設備への配管途中からアンモニアが漏れた。原因は、エバコンへの冷却水配管の詰まりにより、水量不足のため高圧が上昇し安全弁が作動したものと推定されている。また、配管からの漏れは、フランジのガスケットの劣化と締め付け不足によるものと推定されている。

(その4) アンモニア容器の破裂(アンモニア回収時の過充填)

   
 
(1)発生日時: 10年7月24日 12:20頃
(2)発生場所: 千葉県下のアンモニア冷凍事業所
冷凍能力 297.4トン/日
(3)許可年 : 昭和63年
(4)災害現象: 破裂等
(5)取扱状態: 冷凍設備の改造中(容器荷役中・移動中)
(6)事故概要: アンモニア冷凍設備の改造により、アンモニア液量が余剰となったため、中間冷却器から過冷却となったアンモニアを50kg容器(15本)に抜き取り、3階の荷捌室に保管した。23日の22時頃、そのうちの1本の容器(ピンホール)からガスが漏れアンモニア臭がしていた模様(ガードマンの弁)。また、翌24日早朝、当該容器が破裂し、荷捌室がアンモニア臭で充満した模様。このため、残りの14本の容器を水で冷やしながら屋外に移動した。12:00頃、過充填と判断し、空容器へ移充填作業を開始したが、12:20頃、1本が破裂し、近くで打ち合わせをしていた工事業者5名がアンモニア液を被り負傷を負った。他に隣接事業所従業員1名も負傷を負った。また、消防活動にあたった消防職員1名が過呼吸症候群となった。容器の破裂原因は、低温(-5℃)のアンモニア液を容器に抜き取る際に過充填し、温度上昇により、アンモニア液が液膨張を起こしたためと推定されている。

(その5) 設備からの漏洩(休止状態・破産手続き中)

   
 
(1)発生日時: 10年9月11日 10:00
(2)発生場所: 宮城県下のアンモニア冷凍事業所
冷凍能力13.7トン/日
(3)許可年 : 10年以上15年未満
(4)災害現象: 漏洩等
(5)取扱状態: 停止中
(6)事故概要: 景気の悪化に伴い、代表者が失踪(平成10年6月1日)。冷凍事業所の破産手続中、停止中の冷凍設備のアンモニア圧力が上昇しガスが漏洩した。

(その6) 圧力計の取付けネジ部の腐食

   
 
(1)発生日時: 10年11月19日 15:00
(2)発生場所: 滋賀県下のアンモニア冷凍事業所
冷凍能力 92.2トン/日
(3)許可年 : 昭和48年
(4)災害現象: 漏洩等
(5)取扱状態: 運転中
(6)事故概要: ガス漏えい検知警報設備が鳴動したため、アンモニアの漏洩箇所を調査した。その結果、漏洩箇所は液ポンプの圧力計のネジ込み部であることがわかった。このため、圧力計直近の元バルブを閉め漏洩を止めた。また、圧力計は新品のものに交換した。なお、漏洩の原因は、圧力計のネジ込み部には防熱施工が施されていないため乾湿を繰り返す内にネジ部が腐食し隙間が生じたためと推定されている。 原因は、チューブが腐食し穴が開いたためである。
  平成10年に発生した冷凍空調施設における事故は、6件で、いずれもアンモニア冷凍施設での事故であった。これらの事故のうち、漏洩によるものが4件で、その内訳をみると、代表者が失踪し冷凍設備が管理不能な状態にあったもの(1件)、安全弁の作動によるもの(2件)、及び圧力計ネジ込み部の隙間からの漏洩によるもの(1件)であった。残りの2件は、アンモニアの放流(1件)及び容器の過充填による破裂(1件)であった。これらの事故を教訓に、事業所の責任者による監督と日常管理のあり方について検討してみては如何でしょうか。

お問合わせ先

   
 
高圧ガス部 冷凍空調課
TEL 03-3436-6103 FAX 03-3438-4163
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