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平成9年(1997年)に発生した冷凍空調施設における事故について

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  平成9年に発生した冷凍空調施設における事故(通商産業省(現 経済産業省)に報告のあった事故)は7件で、そのうちフルオロカーボン空調施設に係るものが1件、アンモニア冷凍施設に係るものが6件であった。フルオロカーボン空調施設に係る事故を災害現象別にみると、爆発によるもので死者1名、重傷者1名を伴うものであった。また、アンモニア冷凍施設に係る事故は、いずれも漏洩によるもので、その内訳は、設備の老朽化(腐食)(3件)、設備の操作ミス(1件)、その他(建物崩壊による配管損傷、フォークリフトによる配管損傷)(2件)であった。

以下に、それぞれの事故の概要を紹介します。

(その1) 安全弁の作動による噴出(操作ミス)

   
 
(1)発生日時: 9年2月2日 9:32頃
(2)発生場所: 千葉県下のアンモニア冷凍事業所
冷凍能力98.1トン/日
(3)許可年: 昭和47年
(4)災害現象: 漏洩等
(5)取扱状態: 運転中
(6)事故概要: 圧縮機の始動時、中圧側吸入弁の開きが少なかったため、中間冷却器内のガスが吸引されず、圧力が高くなり中間冷却器の安全弁からガスが噴き出した。噴き出したガスは屋外に設置されている除害槽に入ったが、勢いが強く周囲に拡散した。この事故の原因は、圧縮機始動直後の運転状態を確認していなかったことによるもの(操作ミス)と推定されている。

(その2) 空調設備の室外機の爆発(修理中)

   
 
(1)発生日時: 9年5月18日 13:15頃
(2)発生場所: 群馬県下のフルオロカーボン空調事業所
冷凍能力 3.63トン/日
(3)許可年 : 5~7年前
(4)災害現象: 爆発
(5)取扱状態: 点検・修理中
(6)事故概要: 5月13日、X社のAサービス店に空調設備が不調である旨の連絡があり点検を行ったところ、室外機のモーターから異音が発していた。モーター交換の必要性を感じて、その旨をX社に連絡した。15日、Aサービス店は、空調設備のガス漏れを調べるため気密試験を行うこととし、室外機側と室内吹出口側とを遮断して窒素ガスで加圧した。加圧作業中、窒素ガスが不足したため、代わりに酸素ガスで25 kg/cm2まで加圧してそのまま放置した。翌16日、圧力変化を確認したところ、室外機側は圧力を維持していたが、室内吹出口側は圧力が15 kg/cm2まで下がっていた。室内吹出口側に漏れがあることを確認し、この旨をX社に連絡し、酸素ガスによる加圧状態はそのまま放置した。X社は、18日に空調設備の修理を行うことを決めたが、Aサービス店の都合が付かなかったため、Bサービス店に作業の一部を請け負わせた。18日午前、室内吹出口側のガス漏れ箇所を特定するための作業を実施した。午後、X社及びBサービス店は室外機の圧縮機を取替えるため、アセチレンバーナで配管のろう付部を加熱した。その瞬間に爆発した模様である。

(その3) ストレーナーのボルトの腐食

   
 
(1)発生日時: 9年5月30日 17:40頃
(2)発生場所: 佐賀県下のアンモニア冷凍事業所
冷凍能力 108.2トン/日
(3)許可年 : 平成1年(設置は、昭和50年)
(4)災害現象: 漏洩等
(5)取扱状態: 運転中
(6)事故概要: 17時40分頃、ガス漏洩検知警報器が作動したため、残業者が冷凍保安責任者の代理者に連絡。17時50分、同代理者は、散水を行うとともに消防署へ通報。18時15分、消防署員は、警戒区域を設定するとともに機械室内に散水を開始。鎮静化してきたころ、事業者が呼吸器を装着し、機械室内のアンモニアの送液弁を閉止。19時、漏洩箇所の前後の止め弁を閉止。20時24分、警戒区域解除。この事故の原因は、給液電磁弁用ストレーナーの蓋の取付けボルトが腐食し、ガス圧に耐えられずアンモニアが噴出漏洩したものと推定されている。また、アンモニアの漏洩量は、2.5トンと推定されている。

(その4) 建物の一部崩落による、配管の損傷(凍結した床の掘削工事中)

   
 
(1)発生日時: 9年6月26日 20:10頃
(2)発生場所: 北海道下のアンモニア冷凍事業所
冷凍能力 202.67トン/日
(3)許可年 : 昭和48年
(4)災害現象: 漏洩等
(5)取扱状態: 運転中
(6)事故概要: 冷蔵室の床が凍結したため、床の掘削工事を行っていたところ、建物の一部が崩落した。その際に、天井と壁に取り付けられた配管が損傷し、アンモニアが噴出したものと推定されている。アンモニアの漏洩を発見した従業員は、直ちに関係機関に通報し、冷凍装置を停止した。21時頃、警察・消防署員が到着し、付近住民(5世帯15名)を避難させ、消防署員によって放水が行われアンモニアを希釈した。付近住民の避難は、24時37分に解除された。

(その5) 油分離器の配管の腐食

   
 
(1)発生日時: 9年8月4日 5:00頃
(2)発生場所: 千葉県下のアンモニア冷凍事業所
冷凍能力 240.4トン/日
(3)許可年 : 昭和27年
(4)災害現象: 漏洩等
(5)取扱状態: 停止中
(6)事故概要: 午前5時頃、従業員が宿直室を出たとき、冷凍室付近よりガスが漏れる音がしたので確認したところ、圧縮機の手前(低圧側)に取り付けられた油分離器の抜き取り配管が腐食によって穴があきアンモニアが漏れていた。漏れを止めるためバルブを操作しようとしたが、機械室にアンモニアが充満し措置できないと判断し、5時15分頃、消防署へ通報した。出動した消防署員により散水が行われアンモニアを希釈した。また、従業員が漏洩箇所のバルブを閉め5時45分頃、漏洩を止めた。

(その6) 屋外配管の腐食

   
 
(1)発生日時: 9年9月26日 7:30頃
(2)発生場所: 青森県下のアンモニア冷凍事業所
冷凍能力 48.4トン/日
(3)許可年 : 昭和47年
(4)災害現象: 漏洩等
(5)取扱状態: 運転中
(6)事故概要: 付近住民からアンモニアの臭いがしている旨の連絡があり、調査をした結果、新冷蔵施設と旧冷蔵施設を結ぶ屋外冷媒配管が腐食によって穴があき、アンモニアガスが漏洩しているのが確認された。(漏洩ガス量は、1リットル程度と推定されている。)このため、旧冷蔵施設に通ずるバルブを閉じ消防署に通報した。消防署員が到着した頃には、アンモニアの臭いは確認されなかった。

(その7) サクション配管の損傷(フォークリフトの不注意運転)

   
 
(1)発生日時: 9年10月20日 14:00頃
(2)発生場所: 兵庫県下のアンモニア冷凍事業所
冷凍能力 158.7トン/日
(3)許可年 : 昭和28年
(4)災害現象: 漏洩等
(5)取扱状態: 運転中
(6)事故概要: 冷蔵庫の準備室で品物の移動作業中、フォークリフトのマストがサクション配管にあたり、サクション配管を損傷(き裂)したため、アンモニアガスが噴出した。このため、作業員を避難させ、消防署に通報するとともに、冷凍保安責任者は、直ちに空気マスクを着用し、ガス漏れ箇所の連絡バルブを閉じて、アンモニアの漏洩を最小限に抑えた。なお、アンモニア漏洩量は、2~3kgと推定されている。


平成9年に発生した冷凍空調施設における事故は、7件であったが、フルオロカーボン空調施設における爆発事故で、1名が死亡、1名が重傷を負った。フルオロカーボンは、多くの方から安全な冷媒であると認識されているようですが取り扱い次第では大きな事故にも繋がりかねません。このたびの爆発事故は、フルオロカーボン空調施設の点検・修理の対応のまずさから発生したものであり、次のような問題点を孕んでいます。これらのことに注意を払い再発防止を図っていくことが重要であると考えます。

〔問題点〕
(1)加圧試験に、酸素を使用した。
(2)X社及びBサービス店は、Aサービス店から酸素により加圧中であることの事実を知らされていなかった。
(3)圧縮機の交換標準作業手順により作業を行っていなかった。
   〈圧縮機の交換標準作業手順〉
   a. 室外機の冷媒を抜き内部圧力を0 MPaにする。
   b. 酸化被膜を形成させないため窒素を流入する。
   c. 圧縮機を取り外すため、吸入管及び吐出管のろう付け箇所をバーナで加熱する。

お問合わせ先

   
 
高圧ガス部 冷凍空調課
TEL 03-3436-6103 FAX 03-3438-4163
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