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水素侵食・水素脆化

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高圧ガス設備において水素を安全に使用するためには、設備を運転する圧力、温度等の水素環境において水素侵食及び水素脆化に適した材料の選択が重要となります。

水素侵食

高温高圧の水素ガス環境では、水素が鋼中に侵入し、鋼中の炭化物(セメンタイト)と反応して鋼を脱炭させるとともに、メタンガスを生成します。

Fe3C + 4H → 3Fe + CH4

メタンガスは結晶粒界に蓄積し、その圧力が高いため多数の微細なき裂を生じます。この結果鋼の機械的性質は低下します。この現象が水素侵食(hydrogen attack)です。

Cr、Mo、Nb、Ti、Vなどを添加するとより安定な炭化物を作るため、耐水素侵食性は向上します。実用的には0.5%Mo鋼やCr-Mo鋼が使用されています。米国のAPI(米国石油学会)が炭素鋼およびCr-Mo鋼の損傷事例を集積し、水素分圧と温度について使用限界を定めた図がネルソン線図(Nelson chart)です。

水素分圧29.4MPa、温度873Kの雰囲気下で900ks曝露された低炭素鋼の粒界破面上のメタン気泡跡

水素分圧29.4MPa、温度873Kの雰囲気下で900ks曝露された
低炭素鋼の粒界破面上のメタン気泡跡

 

水素侵食の事例(水素侵食を受けた炭素鋼の破面)
出典:今中拓一,田中智夫:日本金属学会会報,21(1982),p.551.

水素脆化

水素脆化は、水素により材料の見かけ上の靱性が低下する現象です。鋼が低温において靱性が低下する低温脆化とは異なり、時間依存型の現象であり、劈開破面を生じないことから低温脆化における脆化とは本質的には異なる事象です。

圧縮水素スタンドでは、水素脆化しない、あるいは水素脆化の影響が少ない材料が選定され使用されています。材料の選定方法としては、高圧水素環境において、SSRT(Slow Strain Rate Test)、疲労試験、疲労き裂進展試験等において水素の影響がない、あるいは水素の影響が少ないことを確認しています。

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