高圧ガス設備等の耐震設計
高圧ガス保安法の以下の関係省令において、設備等の高さや処理能力などに応じて「耐震に関する性能」を有することが義務づけられています。
- 冷凍保安規則(冷凍則)
- 液化石油ガス保安規則(液石則)
- 一般高圧ガス保安規則(一般則)
- コンビナート等保安規則(コンビ則)
- 特定設備検査規則(特定則)
- 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則(液石施行則)
「耐震に関する性能」は
【耐震告示】経済産業省告示第220号 高圧ガス設備等の耐震性能を定める告示で定められています。
この性能をみたすように耐震設計を行います。
耐震設計が必要な設備等は、
高圧ガスを製造・貯蔵する塔槽類と配管で一定以上の大きさや容量のもの
が対象となります。
耐震設計が必要な塔槽類の例

耐震設計が必要な配管の例

耐震設計の必要な範囲
また、圧力設備本体だけでなく支持構造や基礎なども耐震設計の対象となります。

耐震設計では、耐震告示で定められた性能を満足することを
- 例示基準(*2)
- 耐震構造計算プログラム(*3)
- 例示基準以外の詳細基準(*4)
などによって確認します。
(*1)通達「高圧ガス設備等の耐震性能を定める告示の機能性基準の運用について(20181105保局5号)」
(*2)耐震設計規格委員会が制定したKHKS0861、0862が例示基準に位置づけられています(一部除く)。耐震設計規格委員会について詳しくはこちら。
例示基準の追加・改正は経済産業省が行います。協会では、その事前審査を行っています。詳しくはこちら。
(*3)協会が認証した「耐震設計構造物の耐震性能について構造計算を行う方法及び計算を行う者」であり、電子計算プログラムにより計算します。
詳しくはこちら。
(*4)適用する詳細基準の妥当性について、協会が評価を行っています。詳しくはこちら。
関連書籍
高圧ガス保安協会規格 KHKS
「高圧ガス設備等の耐震設計に関する基準」
-
耐震告示の例示基準(一部を除く)
-
高圧ガス設備、配管、基礎の耐震設計基準
高圧ガス保安協会 技術文書 KHKTD
「高圧ガス設備等の耐震設計に関する基準の解説、評価例」
「高圧ガス設備等の耐震設計に関する基準の解説・評価例」の発行に当たり、「高圧ガス設備等耐震設計指針」は廃刊となりました。
「高圧ガス設備等の耐震設計に関する基準の解説・評価例」の概要は以下よりをご覧ください。(資料はこちら)
耐震告示の制定と見直し
旧耐震告示は昭和56年10月26日に制定されました。それ以降、現在の耐震告示が施行されるまでは、旧耐震告示に従い耐震設計が行われていました。(なお、旧耐震告示制定以前は建築基準法に従い耐震設計が行われていました。)
旧耐震告示は下図に示すように過去の地震被害を踏まえて改正されました。

特に、東日本大震災では想定外の地震や津波によって大きな被害を受けたことから、現在発生が危惧されている南海トラフ地震や首都直下地震などに対して、設計基準の技術的な内容の見直しや基準体系の整備などの検討が行われ、現耐震告示(高圧ガス設備等の耐震性能を定める告示)が平成30年11月14日に制定されました。

また、東日本大震災の教訓や将来発生が危惧されている大規模地震対策として、既存の高圧ガス設備等に対して、耐震診断や耐震補強の要請がなされており、高圧ガス製造事業者などにより自主的な診断と補強が行われています。
ご案内
高圧ガス保安協会では、事業所の耐震診断や耐震補強に対する評価業務を自主事業として実施しています。委託調査の対象は以下のとおりです。
【委託調査の対象】下表の設備等について事業者が実施した耐震診断または耐震補強
耐震設計構造物の設置地点において想定される最大級の地震動 |
球形貯槽の鋼管ブレース(重要度Ia~Ⅲ) |
各塔槽類(重要度Ⅰa、Ⅰ)
- 塔
- たて置円筒形貯槽
- 球形貯槽
- 横置円筒形貯槽
- 平底円筒形貯槽など
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左欄の設備の基礎等
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耐震診断や耐震補強を行う際に診断結果や補強方法の有効性評価でお困りの際は、是非ご活用ください。
「委託調査のページ」